シーシュポスの勝利

アクセスカウンタ

zoom RSS フォグラントと星々の道

<<   作成日時 : 2007/05/27 17:39   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 今は昔、フォグラントという男がいました。
 後に1032の英雄に加わってメクセト王とともに神々と戦争することになる男でしたが、このころは性格の悪いお姫様と結婚することになったり、その父親の王様から不興を買って僻地に左遷させられたり、無理難題を課せられたり、アエルガ・ミクニーという性格の腐った神様にからかわれたりしていました。
 あるときフォグラントは砂漠に出没する怪物を討伐したのでしたが、捕らえてみると他世界から迷い込んできた生き物だったので、もといた世界へ帰してやることにしました。
 フォグラントは連れ合いの猫に他世界へいく方法を尋ねました。この猫はただの猫でなくて幻獣の王たる猫だったので方法を知っていました。星々の道という場所から他世界へいけるといい、この場所はフォグラントの派遣された砂漠の果てにあるといいました。こうしてフォグラントと猫は星々の道へ向かいました。
 月夜の砂漠を旅する1人の男とその先導をする1匹の猫を遙か高みから見下ろすものがいました。この者の名前はアエルガ・ミクニーといって性格の腐りきった神様で、ことある毎にフォグラントと連れ合いの猫を困らせて楽しんでいました。アエルガ・ミクニーはフォグラントの行き先が≪古戦場≫と知ると、太古の戦争で使われた兵器を蘇生させて差し向けました。太古の戦争とは人類に秘匿された神々の戦争でした。この戦争で使われた兵器にとって人間は蟻以下の脆弱な存在でしかないので、フォグラントはまず死ぬはずでしたが、アエルガ・ミクニーはお気に入りのおもちゃの壊れるところを見るのが大好きでした。もっとも猫がいるのでもっとおもしろい展開になるだろうという読みもありました。
 このようにして太古の兵器がフォグラントを襲撃しました。フォグラントにとっては突然の展開でしたが、脈絡もなくひどい目に遭うのは珍しくもなかったので、機転を利かし、さらに猫の助けを借りて太古の兵器を打ち倒しました。アエルガ・ミクニーはフォグラントが生き残ったので、これからも遊べるぞと喜びました。それでご褒美として星々の道に仕掛けられた警備機構をすべて蘇生させました。
 こうしてフォグラントの道行きは険しくなってしましい、星々の道にいったんはたどり着いたものの、後退を余儀なくさせられました。フォグラントと猫はさきほど打ち倒した太古の兵器までもどると、この中に入って野営することにしました。
 フォグラントは猫の様子を気にしました。というのは猫が辺りを懐かしそうにしているからでしたが、これは当然のことで、猫はかつてこの戦争に加わった身だったからでした。
 まだ人類がか弱かった太古のころ、フォグラントやアエルガ・ミクニーのいるこの世界に他世界からの船が到着しました。到着というのはおかしな表現でこの船は漂着したのでした。漂着した船は他世界間移民船と呼ばれた種類の船だったので、墜落のショックから回復するとすぐにテラフォーミングを開始し、まずは土壌が変質し、つぎにすさまじい勢いで大気が造り替えられました。周辺の生態系は完全に破壊され、別の生態系に変わりました。
 これを神々はおもしろい出来事だと見守っていたのですが、移民船から2本の塔が建つと血相を変えました。塔の一本の機能は他世界へと通信するための設備で、もう一本の塔はこの世界と他世界の行き来を用意にするためのプラットフォームでした。もはや他世界から侵略者が現れるのは明白でした。
 この世界の神々は移民船を囲むように戦陣を展開すると、他世界の侵略者を誘導するプラットフォームを、大気を毒に変える気体置換装置を粉砕しました。こうしていったんは脅威が除かれたとおもわれましたが、プラットフォームの警備システムは脅威を検知し、遙か遠くの本世界に警告信号を発信していました。そしてこの世界に他世界の軍勢が現れました。この軍勢は「南東からの脅威の眷属」と名乗って億の軍艦に守られた万の移民船で降り立ち、千の空母の一機一機から百の艦載機を出撃させました。この一億の艦載機のひとつにフォグラントの猫が搭乗していて、今夜1人と1匹の寝床となるものがかつての猫の乗っていた搭載機と同型の兵器でした。
 猫から太古の話を聞いてフォグラントは不思議な気持ちになりました。このふかふかした生き物が忘れ去られた時代の残滓なのが不思議ならば、かつて戦争に参加していたのも不思議でした。猫はこれを知ると反駁して空を示すと、見よ、おれたちは、あの戦争の神々は失われてはいないのだと。
 これを高みから見聞きしていたアエルガ・ミクニーはかつての殺戮を思い出して高笑いしました。夜空が怖気に震えて星を落としました。
 さてこの夜のあいだに猫はこの兵器を再起動させ、朝になるとフォグラントともに星々の道へ出発し、兵器の識別信号で警備群を欺いて見事突破してみせました。
 こうして星々の道、「南東からの脅威の眷属」の移民船にたどり着くと、猫は小型のシャトルを探し出し、他の兵器群を蘇生させて、滑走路の準備をさせました。こうして他世界へ渡る準備を終えると、来訪者をここに呼んできて、シャトルに乗せて別れました。
 シャトルは滑走路から飛び立つと、この世界を2周して重力から脱出する速度を得ると、他世界へ行きました。
 空にくっきりと残されたシャトルの軌道を見上げながらフォグラントは猫にいいました。
 「きみは帰らないのか」
 「帰らない。おれの故郷は滅んだのだ」

ゆらぎの神話についてこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_6.html
この企画の遊び方についてはこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_7.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
フォグラントと星々の道 シーシュポスの勝利/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる