シーシュポスの勝利

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zoom RSS フォグラントと姫君

<<   作成日時 : 2007/05/23 18:29   >>

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 今は昔、フォグラントという男がいました。神殺しの王メクセトに仕えた1032英雄の1人でした。これはこの人物が英雄になる前のお話です。
 さて物語れる頃、フォグラントは困っていました。フォグラントはこの当時仕えていた王様(メクセトではありません)に召集されて王都にいったのですが、そこに待っていたのは命をかけた試練でした。
 お姫様が結婚を望んでいて、男たちに求婚が許されたのですが、拒絶された求婚者は死なねばなりませんでした。これだけならどこの国にもいる理不尽なお姫様なのですが、王様が婚期を逃してはいけないと焦ったので、国中の若い男が召集されることになったのです。
 一山当てるべく野心のある貴族はお姫様を口説こうとしたのですが、城壁に己の生首を飾ることになりました。ずらりと並んだ生首を見て誇りのある貴族は凶行を止めるべくお姫様に求婚しましたが、生首の列に加わりました。フォグラントのような辺境出身の田舎貴族は召集の理由を知らされずに連れ来られて青ざめ、そのまま生首になるものでした。
 とはいえまだフォグラントは死んでいません。試練を受ける順番がまだなのです。
 「いっそのこと逃げてしまえ」とフォグラントの影がいいました。影の中に金色の玉が2つ浮かんでいます。これはフォグラントが故郷から連れてきた猫で、影の中に隠れているのです。
 「良い提案だが、だめだ。王都の周りには親衛隊が巡回しているし、逃亡したら王は故郷に絶滅部隊を派遣するだろう。
 「親衛隊が手強いのは事実で、絶滅部隊が故郷を焼くのも事実だが、それでもお前だけなら逃げ切れるだろう」
 「そうだね。でも故郷に対する責任があるんだ」
 「王や姫君を恨むか」
 「恨んでないけれども、不条理にはおもっている。恨んだら私は私の父親も恨まなくてはならないんだ。それはしたくないね」
 フォグラントと猫が話していると、ラッパが鳴り響きました。お姫様の試練に失敗されたものが処刑されたのでした。
 次は私だとフォグラントはいいました。
 親衛隊がフォグラントの部屋に現れて、フォグラントの四方を取り囲んで、試練の場へと移動させました。
 手錠こそありませんでしたが囚人のようでした。けれどもフォグラントは怒りませんでした。
 猫は相変わらず影に潜んでいて成り行きを興味深く見守っていました。
 こうしてフォグラントと猫はお姫様の寝所に放り込まれました。
 この寝所でお姫様と一晩過ごすことが試練でした。夜が明ける前に寡黙なお姫様と言葉を交わさなくてはなりませんでした。交わせたら結婚の栄誉が与えられ、できなかったら首を切り落とされます。
 猫はフォグラントの様子をうかがいました。というのはフォグラントが取り立て作為をしている様子がなかったからでした。そのくせ諦めた様子もないのでした。
 天蓋付きのベッドにお姫様はいて、フォグラントはそのそばに椅子をおいて座りました。フォグラントはお姫様の視線が肌に刺さるのを感じましたが、無視していいました。
 「にゃーにゃー召喚」
 「誰がにゃーにゃーだ。まして召喚なぞ!」といいつつも猫はフォグラントの影から出てきました。
 フォグラントはお姫様の動揺する気配を感じましたが、また無視しました。
 「さして気にはしてないだろう」とフォグラントは猫にいいながら燭台からロウソクを一本取りました。フォグラントは指で火を消すと猫にいいました。
 「そこのお嬢さんのお相手をしてくれ。私は死ぬ前にこの白い美しい方のお相手をするんだ」
 「うん。待てよ。お姫様よりそっちのほうがいいな。よこせ」
 「断る。嫌なら寝てろ」
 こうして猫は暖炉前で寝てしまい、フォグラントはロウソクに愛をささやき、お姫様は所在なくベッドの上にいました。
 お姫様は思わず「あなたはなにをしているの!」といってしまいました。
 フォグラントはきっと姫君を睨んで「邪魔するな」というと暖炉の前の猫をベッドに投げ込みました。お姫様は反射的に猫を抱きかかえたのですが、猫はよく暖まっていたので、思わず悲鳴を上げました。これを聞いてフォグラントは舌打ちしました。
 「寡黙な姫君と聞いていたのに2回も声を出すとは」
 まるで自分が試練を貸しているような言い様でしたので、お姫様は猫を放り出すと、フォグラントに食ってかかりました。
 フォングラントとお姫様の口論が始まりました。フォグラントを処刑するつもりの親衛隊が現れるまで口論は続きました。こうしてフォグラントはお姫様と結婚することになりました。
 王都にたくさんの人々が集まり、フォグラントとお姫様の結婚を祝うことになりましたが、肝心の2人は不満でした。フォグラントはこんな非道い女と結婚できないとおもい、お姫様はこんな田舎貴族とは一緒になりたくないとおもっていました。
 猫はこの2人をおもしろくおもっていました。というのは基本的に仲が悪いのですが、結婚したくないという一点に関しては非常に意見があって、2人で会うたびになんとか結婚を反故する方法を話し合っていたからでした。
 しかし2人は反故する方法をおもいつけず婚礼の前日となりました。フォグラントは逃げようと考えましたが、そんなことをすれば、王都に来ている父親が処刑されるのでできませんでした。頭を抱えていると親衛隊が駆け込んできました。
 なんとお姫様がさらわれたそうでした。おもわずフォグラントが手を打って喜んだので、猫は吹き出しました。
 さて婚礼の前日にお姫様をさらわれた男の名前はフォグラント。
 のちの1032英雄の1人で、いずれ神殺しのメクセト王の配下になるものでした。

ゆらぎの神話についてこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_6.html
この企画の遊び方についてはこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_7.html

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