シーシュポスの勝利

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zoom RSS フォグラントの試練

<<   作成日時 : 2007/05/22 17:30   >>

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今は昔、辺境を治める領主に3人の息子がいました。
領主は長男を後継者にしようと考えましたが、上昇志向のある三男も捨てがたいとおもいつつ、ぼんやりしたところのある次男の将来を心配しました。
次男は柴犬のようなお人好しの顔で長男と三男のさや当てを心配しました。次男は兄弟仲良くやりたかったのでぼんやりのふりをするのでした。
こんな次男に長男と三男は「ぼんやりの真似をするとほんとうにぼんやりなってしまうぞ」とよく脅したものでした。
領主の心配はともかくとして3人兄弟は仲良しでした。
さて領主は後継者を正式に決めることになって長男を選びました。けれども長男はその翌日に落馬して死にました。
次男は息子を失って悲しむ領主にいいました。まだ三男がいる。これは立派な男だと。
しかしこの三男も病気にかかって死んでしまいました。
こうして長男が死に、三男が死んだので、後継者は次男ということになりました。
領主は次男をぼんやりした男と思い込んでいたので残念に思いましたが、他の者へ譲るよりはましと考え直して、後継者にしました。しかし領民、配下の中に異議を唱える者が現れました。
後継者となった次男は今まで実力を人に見せなかったことを後悔しました。兄弟の忠告にはきっとこういうこともふまえていたのだろ。
領主は領主で後悔していて、こんなことになるならば、他の者を後継者にすれば良かったと考えていました。それでいっそのことを次男を謀殺して他の有力な者を後継者とすることにしました。
こうして次男は後継者にふさわしいことを証明することになりました。
次男は領土の果てにある大きな地割れにいくことになりました。
この大地割れには竜がいました。
次男の試練とはここに住む竜を倒すことでした。
次男は能力こそ疑われていましたが、人柄は嫌われていなかったので、出発するとき、たくさんの領民が送り出しました。能力が疑わしかったので領民はお人好しの御曹司と今生の別れになるかも知れないとおもったのでした。
領民は知っているのでした。自分たちの御曹司はその辺りの御曹司と違って卑怯なことを決してしないことを。本人が聞いたら頬を染めて卒倒してしまいそうなことを信じていました。
こうして次男は試練の場へ赴いたのですが、道中はまったく問題なく、大地割れを下るときも安気なものでした。そして何事もなく大地割れの最深部にたどり着きました。
暗闇の中で次男は辺りを見回しました。しかしなにも見えません。もとより目に期待をしていなかったので肌で空気の動きを感じようとしましたが、竜のような巨体が動く気配はありませんでした。
不思議におもっていると遠くから硬い音がしました。近寄ると2つの光の玉が浮かび上がりました。次男はこれは猫だなとおもいました。
「きみは猫か?」
「そうだが、お前は人間か」
「人間だ。ところでここの竜に用事があるんだ。行方を知らないか」
「残念だ。もういないぞ。さっき俺との博打に大負けして、鱗という鱗を押さえられ、それでも払いきれなかったらここを俺に譲った。今では月の裏にでも飛んでいって泣いているさ」
「まいったな。困ったな。こんなことになるとは」
「なにかあったのか」
次男は説明しました。すると猫は顔を洗ってから鱗をくれやるといいました。
次男は手を打って喜びましたが、猫の意図を感じました。
猫は鱗をやる代わりに連れて行けといいました。
こうして次男は猫を連れて戻ることになりました。
猫は大地割れから出ると、次男の影の中に忍び込み、道中の労力を省きました。そのぶん次男は疲れることになりました。もとが頑丈なので大したことありませんでした。
こうして次男は後継者にふさわしいことを証明し、領民も領主も安心させることに成功しました。けれども王が召集命令を出したので、次男は領主の代わりに行くことになりました。
領主と領民は盛大に次男の出発を見送りました。次男はというと気恥ずかしそうにうつむいていました。
さて次男は馬を走らせました。王都へ行くのは初めてだったので早く見てみたかったのです。また王からの命令には召集とあるだけで理由が記載されていなかったので好奇心が刺激されていました。
次男は馬に休みも与えずに走らせ、へたばると別の馬に乗り換えてあっという間に王都へたどり着きました。
しかし王宮に到着を報告すると、相手をしてくれた役人が顔を曇らせました。
到着が遅れたほうが良かったのにと役人が漏らすのを聞きつけて次男は詳しい内容を聞きたがりましたが、役人は首を横に振りました。
なぜかはすぐにわかりました。行きは急いでいたので気づきませんでしたが、城壁に首が並べられていたからでした。戦争でもないのにこんなことをする理由を通行人に尋ねると、通行人はいいました。「お姫様が結婚相手を求めていて、ふさわしい相手か確かめるために試練を行うのですが、失敗したものはさらし首になるのです」
さて次男は困ってしまいました。影の中で猫は笑いました。
「さてどうする? フォグラントよ」
次男の名前はフォグラントといいました。
フォグラント。
彼こそが後の1032英雄でした。
神殺しのメクセト王、その配下1032英雄の1人でした。

ゆらぎの神話についてこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_6.html
この企画の遊び方についてはこちらをご覧下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200704/article_7.html

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